園長よりメッセージ ~カルメル山より

 聖ヨゼフ幼稚園はカトリック教会の修道会の一つであるカルメル会によって創立された幼稚園です。当初は学校法人聖ヨゼフ学園・聖ヨゼフ幼稚園として創立されましたが、現在は、2005年に石川県内のカトリック幼稚園5園が統合されて設立された「学校法人石川カトリック学園」の幼稚園となっています。
 
祈りとモンテッソーリ教育に育まれる「精神の集中と自発性」
 カトリック教会には全世界に500を超える修道会がありますが、(例えば、マザーテレサが設立した神の愛の宣教者会、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルで有名なイエズス会、金沢聖霊病院を創立したシスターの聖霊会など)カルメル会は12世紀ごろ、その名称の由来であるパレスティナ(現イスラエル)のカルメル山で生まれました。カルメル山は、紀元前の昔から聖地における修行の場であり、常に修行に励む隠遁者たちの集まる場でした。その伝統を受け継ぎ、カルメル会も伝統的にメディテーションMeditation(瞑想・黙想) あるいはメンタル・プレイヤーMental Prayer(念祷)と呼ばれる沈黙の祈りを重視して来ました。
 最近になって、メディテーションあるいはメンタル・プレイヤーと呼ばれる精神集中の形は別の意味合いでも注目を集めるようになりました。それは、精神の集中力を高め、精神的な力を引き出し、精神的な成長を促す、あるいは精神を癒す効果があるということです。欧米では政府や企業においてこの精神集中を仕事の成果を高める為や、仕事からくる精神的疲れを癒す方法として取り入れているという報告もあります。子どものころからこの沈黙して祈るという祈り方に馴染むことによって、またモンテッソーリ教育における精神集中との相乗効果によって、子どもたちは精神的に健全に、そして力強く育ち、どんな困難をも乗り越えていく精神力を培うことが出来るでしょう。
 この精神の集中は、自発性とつながります。この自発性はモンテッソーリ教育における最重要の目的の一つです。幼児教育における早期教育の重要性はここにあります。幼児期においては何を覚えるかではなく、学び成長していくための原動力となる精神の集中力と自発性こそが大切です。
 
聖書の登場人物の「あきらめない!」
 幼稚園で子どもたちは聖書からのお話もたくさん聞きます。その聖書の中で人を愛することや困っている人を助けることのできる優しさの大切さが説かれていることは当然ですが、もうひとつの大切なテーマはあきらめないことの重要性です。聖書の物語の登場人物たちの姿は、たとえどんなに絶望的に見えても、投げ出したくなるような時でもあきらめないことを説いています。単に神様が助けてくれるから大丈夫とか、現実に目をふさいで頑張りさえすれば何とかなるというようなことを勧めているわけではありません。たとえその時は不成功に終わっても心が折れたりしないように、明日につながる希望だけは失わないように、勇気に満ちた強い心を持つように励ましているのが聖書のお話です。それらを実際、子どもたちはモンテッソーリの縦割りクラスの中で実践していきます。同学年だけでなく異年齢の子供たちのかかわりの中で、うまくいったりいかなかったり、思い通りに行ったり行かなかったり。できなくてもあきらめずに頑張る年少さん(必ずできるようになります)、自分ができることを教えてあげる年中さん、いつかできるようになるからと気長に手伝ってあげる年長さん。そして自分も新しいこと、難しいことにチャレンジしていく年長さん。聖書のお話を聞きながら子どもたちはそのようにお友だちを愛する、優しい、そして勇気のある強い人間に育て行きます。